炭とは −炭とは、黒炭、白炭、竹炭、竹炭の効能、炭焼きの方法、花炭、築窯法、ドラム缶窯、伏焼き

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■1.炭とは

■2.「木炭」−“白炭”と“黒炭”

■3.「竹炭」の効用

■4.「炭の焼き方」のいろいろ


■1.炭とは

「炭」は、炭材とする木材や竹材をむし焼きにして、タール分、水分やガス分を抜き「炭化」させたものです。
薪とは違って、軽いので運搬し易く、また、煙やタール分、あるいは炎などが出ず、その割には火力が強く、火持ちもよいので、燃料として使い易い特徴があります。
燃料革命(石油、ガスの出現)によって、ほとんど使われなくなった炭ですが、近年になって、炭の持つ「水質浄化」や「土壌改良」などの様々な効能が見直されて復権してきています。

なお、炭を焼く際に出る煙から採取できる「木酢液」や「竹酢液」も重要な副産物です。

■2.「木炭」−“黒炭”と“白炭”

木炭は名の通り木材を炭材とした「炭」です。その炭質によって「黒炭(クロズミ)」「白炭(シロズミ)」の二種類に分けられます。
竹(モウソウ竹)を原木とした炭が「竹炭」です。竹炭には、木炭とは異なる様々な効能があります。次項を参照ください。

どちらも焼き方に違いはありませんが、焼き上げる時の火の消し方で、その炭質はまったく違ったものになります。
同じ原木で焼いた炭でも、黒炭と白炭とでは、たとえば炭素、水素や灰分などの成分も、硬さ、発熱量、火つきや火もちのよさなどの性質が違ってきます。

日本では炭をゆっくり炭化させるので、よくしまった良質の炭になります。原木としてよく使われるのはクヌギ、コナラ、ミズナラ、カシ類などです。ウバメガシを原木とする備長炭がよく知られていますが、これは「白炭」です。

近年では、海外から輸入される木炭も増えています。多くが東南アジア産で、ヤシガラ炭が多く、活性炭の原料などにも使用されています。

(1)「黒炭」

窯の中で約500〜700度で炭化が終わった段階で窯口や煙道(煙突)口を粘土などで密閉し、空気の供給を絶って窯の中の火を消し、そのまま冷却して作るのが黒炭です。
この消し方では、灰がつかないため表面が黒いことから「黒炭」です。

黒炭は、白炭にくらべで相対的に炭質がやわらく、火つきがよく、立ち消えも少ないという特性があります。

(2)「白炭」

炭焼きの仕上げの段階で、窯口を徐々に開き最後に窯口を大きく開けて空気を入れてほぼ焼き上がっている炭を約1000度以上の高温にし、ころあいを見て真っ赤になった炭を窯口からかき出し、木灰や土や砂に水分を含ませた消し粉をかぶせてすばやく冷やして作るのが「白炭」です。
この消し方では、炭の表面に白い灰がつくので「白炭」と呼ばれます。白炭は炭質が硬いことから「カタズミ(堅炭)」とも呼ばれます。
なお、この一連の作業のことを白炭の「ねらし」などと呼びます。

白炭を焼くのは、日本の他には東アジアのごく一部の国に限られています。

白炭の代表的なものに、ウバメガシを原木とする「備長炭(びんちょうたん)」があります。鋼のようにかたく、たたき合わせると金属音がするのが特徴です。火力が強く、火もちがよい特性があります。
白炭は、高温で焼きあげるため、水分やガス分はほぼ100%抜けています。したがって、いきなり加熱しないかぎりはぜたり跳んだりすることはまずありません。
白炭には備長炭のほかに、秋田や長野県北部のナラ白炭、大分や宮崎県などのカシ白炭などがあります。


■3.「竹炭」の効用

「竹炭」は、竹の幹(稈と呼ぶこともあります)を炭材にして蒸し焼きにした炭のことです。通常は、竹の幹(稈)が肉厚なモウソウ竹を炭材に使用します。
「竹炭」は、木炭に比して表面積が数倍大きいので吸着力に優れています。備長炭の3倍の表面積、10倍の吸着力があるとされています。
したがって、燃料としての用途の他に多くの効用があり、近年になって竹炭の効能が再評価されるようになってきています。

(1)「燃料」 
木炭と同じように「燃料」として使用します。ただ、炭の部分が相対的に少ないので燃料として利用する場合には量を必要とします。

(2)「土壌改良」 
土壌に炭を鋤き込むことによって、ミネラルの補給効果と同時に微生物を増殖し易くし、農作物の生育に適した土壌にすることができます。
炭は多孔質であるために、土壌の通気性を良くし、保水性を高め、通水性を良くする働きもあります。

(3)「ご飯をおいしく炊く」 
ご飯を炊くときに竹炭を一緒に入れて炊くと、ふっくらと美味しいご飯になります。水に沈むものを選び、熱湯消毒して乾燥させてから使います。

(4)「水質浄化」 
飲料水に竹炭を入れておくと、お水がおいしくなります。

(5)「脱臭」 
冷蔵庫や部屋に置いておくと脱臭の効果があります。


■4.「炭の焼き方」のいろいろ

炭を焼く方法には、比較的簡単な方法から本格的な方法までいろいろあります。大別すると「築窯法」「ドラム缶窯」および「伏せ焼き」に分けられます。
さらに、松ボックリ等の堅い果実、花や野菜などを観賞用に焼く「花炭」焼きもあります。

(1)「築窯法」

ほこらのような窯を築いて炭を焼く方法です。この方法は、窯を築くのにも炭を焼くのにも、かなりの技術と経験を必要とします。とは言え、本格的に炭を焼く場合には、この築窯法で炭を焼きます。
したがって、プロではない場合や商用ではない場合には、比較的簡便な「ドラム缶窯」あるいは「伏せ焼き」法で行うのが一般的です。

(2)「花炭」焼き
 
松ボックリ、どんぐり等の木の実、花、野菜・果実などを焼いて、原型のまま焼きあがった姿を観賞するのが「花炭」です。ですから「鑑賞炭」とも呼ばれます。
お菓子の容器などの金属製の容器に適度に穴を開けておいて、その中に材料を入れ焚き火などで比較的容易に焼くことができます。

(3)「伏せ焼き」

地面に浅い穴を掘り、そこに炭材を置き、上からトタン板をかぶせて、さらにその上に土を盛って焼くのが「伏せ焼き」です。
ホームセンターなどで手に入る煙突とトタン板があれば、平地でも簡単に焼けるので、比較的簡便な方法です。ただし、その分きちんとした炭を得る比率は高くはありません。
本格的な「築窯法」では炭材を立てて並べて焼きますが、「伏せ焼き」の場合は炭材を横に寝かせて焼くことから「伏せ」焼きと呼ばれます。

(4)「ドラム缶窯」

普通のドラム缶に簡単な加工を施して、焚き口と排煙口(と煙突)をつけたものを、簡便でよければ横に寝かせて土中に埋め、その中に炭材を入れて焼くのが「ドラム缶窯」焼きです。
なお、近年では各地でドラム缶を垂直に立てて焼く方法など多くの方法が開発されていて、きちんとした炭を得る比率も高くなってきています。
ドラム缶窯は、本格的な窯を築く築窯法よりもはるかに簡便です。また、「伏せ焼き」とは違って、その窯を何回も使える利点があります。また、きちんとした炭を得る比率も「伏せ焼き」よりはよくなります。

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