タチチチコグサ(立ち父子草)         
多摩の緑爺の「多摩丘陵の植物と里山の研究室」

タチチチコグサ(立ち父子草) キク科ハハコグサ属
学名:Gnaphalium calviceps

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■特徴・分布・生育環境
熱帯アメリカ原産で大正時代に渡来した外来種です。
この仲間(同属)は、後述の通り、在来のチチコグサの他に、チチコグサモドキ、このタチチチコグサ、ウラジロチチコグサやウスベニチチコグサなど外来種が多く渡来しています。

草丈20〜30cmほどの1年草あるいは越年草です。
葉が線形で細長く(この仲間では最も細い)、茎葉も細くチチコグサよりも多くつけ茎頂に数段にわたって花をつけます。

初夏(時に晩春)から初秋にかけて茎の上部の茎葉の腋や茎頂に多くの管状花からなる褐色の花をつけます。
また、花の基部に3〜4枚ほどの細長い苞葉を放射状につけます。

世界の熱帯から温帯に広く分布しています。
多摩丘陵では、市街地の小さな草地や荒地や丈の低い草地(芝草地など)に見られ、近年は多くなっているようです。

■名前の由来
チチコグサによく似ていて、茎の上部に数段にわたって花をつけるので「立ち」とされたようです。

■文化的背景・利用
仲間(同属)の在来のハハコグサは万葉集にも表れていますが、外来種でもありタチチチコグサは詩歌や文芸の対象となってはいません。

近縁のウスユキソウ属の花は、苞葉が白い毛に覆われていて星型に見えることから文芸などにも表れ、特にエーデルワイスは有名です。

■食・毒・薬
仲間(同属)のハハコグサは「春の七草」の「オギョウ」で、食用にしますが、タチチチコグサを食用にするという報告はありません。また毒性もないようですが未確認です。薬用にもしないようです。

■似たものとの区別・見分け方
〇在来種のチチコグサは、茎葉は少なく根生葉も茎葉も細長く、茎頂だけに頭花をつけることで容易に区別できます。

チチコグサモドキは、茎にヘラ型(葉先に向かって葉の幅が広くなる)の葉が多く付き茎頂だけでなく茎葉の腋にも花をつけるのが特徴です。

〇このタチチチコグサは葉が線形で細長く茎葉も細いのが特徴で、チチコグサよりも茎葉を多くつけ茎頂に数段にわたって花をつけます。

ウラジロチチコグサは、根生葉も茎葉も長楕円形で葉裏が驚くほど白いのが特徴です。花期に根生葉が残ります。

ウスベニチチコグサはウラジロチチコグサによく似ていますが花が赤味を帯び苞葉が少し長く、花期には根生葉はありません。    
  
写真は「花と茎葉」の1枚を掲載
タチチチコグサ
タチチチコグサの花と茎葉