■特徴・分布・生育環境
日当たりのよい路傍や林縁などに生育する長さ1mほどになる1年草です。
茎を多く分け、ツル状に長く伸びて他物に寄りかかるようになります。
茎には下向きの鋭いトゲが密にあります。
葉は長さ7cm前後の三角形状なのが特徴です。
初秋から秋に、茎頂に多くの小さな花を、密な半球形の房状(総状花序)につけます。
花は小さく、径5mmほどで花被片は5枚です。
花被片は、ガクで花弁はありません。花は帯紅紫色です。時に初夏から咲き始めることがあります。
日本各地から北東アジアに分布します。
多摩丘陵では、2015年現在では多くはありませんが時々見かけます。
■名前の由来
昔は、便所の落とし紙に、紙の代わりに葉っぱを使っていたことから、この逆トゲのあるママコノシイヌグイを「継子(ままこ:貰い子)に使わせたらさぞ痛かろう」の意味であるというのが通説です。いずれにしても、現在では幼児虐待と言われかねない命名です。
■文化的背景・利用
知られた詩歌や文芸などには、その名は現れていないようです。
古い時代のものも含めて、多くの本草書などにもその名は現れていないようです。
■食・毒・薬
民間で、全草を天日乾燥したものを煎じたものに、血行促進、腫れものや痔に効能があるとされています。
有毒であるという報告はないようです。食用にもしません。
■似たものとの区別・見分け方
〇仲間(同属)にイヌタデやハナタデ等がありますが、花穂が細長いことなどかなり草姿が異なります。
同じく仲間(同属)のミゾソバやアキノウナギツカミに花序や花が似ています。
〇ミゾソバでは、茎はツル状にはならず、逆トゲも小さく、葉も基部が横に張り出すホコ型であることで容易に区別できます。
〇アキノウナギツカミではママコノシリヌグイと同様に茎はツル状になり逆トゲがあってよく似ていますが。
葉は細長い狭楕円形で、葉の基部が茎を抱くようになることで、葉が三角形で明瞭な葉柄があるママコノシリヌグイとは容易に区別できます。
〇同じく仲間(同属)のイシミカワもママコノシリヌグイに花、葉や茎のトゲなどがよく似ていますが、イシミカワでは生育する場所が川原や砂地なので区別できます。
イシミカワでは果実が残存する藍色のガクで包まれているのに対してママコノシリヌグイでは黒色なので果期には容易に区別できます。
〇なお、ナガバノウナギツカミも似ていますが、アキノウナギツカミとは異なり、細長い葉には明瞭な葉柄があり、葉の基部は茎を抱きません。
〇ウナギツカミがアキノウナギツカミに良く似ていますが、花期が春〜初夏なので容易に区別できます。
分布域的には自生がある可能性がありますが、イシミカワ、ナガバノウナギツカミやウナギツカミは、多摩丘陵では未確認です。
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写真は「花」、「花と葉」、「葉」と「茎とトゲ」 の4枚を掲載 |
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ママコノシリヌグイの花 |
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ママコノシリヌグイの花と葉 |
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ママコノシリヌグイの葉 |
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ママコノシリヌグイの茎とトゲ |
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