| ■特徴・分布・生育環境
草丈３０ｃｍ〜１２０ｃｍほどになる多年草です。明るい林縁や林床に生育します。 茎は、多くの場合斜上します。 初秋（〜秋）に茎の先に長さ３０ｃｍほどになる細い房状（総状花序）の花序に、長さ５ｍｍほどの小さな淡紅紫色の花を、花茎に並べるように多くつけます。花はマメ科特有の蝶型花です。 葉は三出複葉（三つの小葉からなる葉）です。小葉は、長さ６ｃｍほど、幅４ｃｍ前後で、葉先は三角形状です。 果実は女性が胸に付ける下着の形に似ています。果実は緑色から、初秋の終わりから秋に入るころに褐色に熟します。果実には毛が密生していてマジックテープのように衣服などにくっつく「ひっつき虫」です。 なお、ヌスビトハギは、植物学的にはマルバヌスビトハギの亜種または変種とされ、ヌスビトハギでは頂小葉が基部の方で幅が広いのに対して、マルバヌスビトハギでは葉先の方で幅が広いことで区別します。マルバヌスビトハギは多摩丘陵では未確認です。 さらに、植物学的には、陰地を好むヤブハギやケヤブハギもマルバヌスビトハギの亜種または変種とされますが、ヌスビトハギとよく似ていて区別は容易ではありません。多摩丘陵では、これらはまだ明確に確認できてはいません。 日本各地から朝鮮半島・中国大陸・ヒマラヤ・ビルマに分布します。 多摩丘陵では、結構普通に見られます。 ■名前の由来 果実の形が「盗人（ぬすびと）」の忍び足の足型に似ているとの命名です。ハギの名はありますが、花が似ているという意味のようです。ただし、ハギの仲間（ハギ属）ではなく別属です。 ■文化的背景・利用 万葉集を始めその後の歌集や文献にも現れていないようです。 ■食・毒・薬 薬用にはしないようです。毒性の報告はありませんが、食用にはしません。 ■似たものとの区別・見分け方 草姿や花序が仲間（同属）のフジカンゾウやアレチヌスビトハギに似ています。 ○フジカンゾウでは、個々の花は長さ１ｃｍほどとヌスビトハギの倍近く大きく、ヌスビトハギやアレチヌスビトハギの葉は三出複葉（小葉３枚からなる葉）であるのに対して、フジカンゾウでは葉が奇数羽状複葉であることで容易に区別できます。 ○アレチヌスビトハギは、個々の花がヌスビトハギの倍ほど大きく、果実の袋が三〜五個になっていることで区別は容易です。また、個々の花が大きいところはフジカンゾウに似ていますが、フジカンゾウでは果実の袋は２個です。ヌビトハギやアレチヌスビトハギでは葉が三出複葉であるのに対して、フジカンゾウでは奇数羽状複葉です。 |
| 写真は「花」、「花と葉」、「果実」と「葉」 の４枚を掲載 |
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| ヌスビトハギの花 |
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| ヌスビトハギの花と葉 |
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| ヌスビトハギの果実 |
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| ヌスビトハギの葉 |