アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)         
多摩の緑爺の「多摩丘陵の植物と里山の研究室」

アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩) マメ科ヌスビトハギ属
学名:Desmodium paniculatum

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■特徴・分布・生育環境
1940年代に北米から渡来したとされることがある外来種です。
関東地方以西に広がっているとされています。
名の「荒地」の通り荒地や造成地などに自生します。

草丈50cm〜1mほどになる多年草です。
茎は、ほとんどの場合斜上します。

初秋〜秋の初めにかけて、茎の先に長さ20〜30cmほどの房状(総状花序)の花序に、長さ1cmほどの小さな淡紅紫色の花を、花茎に並べるように多くつけます。
花はマメ科特有の蝶型花です。

葉は三出複葉(3枚の小葉からなる葉)です。
小葉は、やや細長く長さ5〜8cm、幅2〜4cmほどで葉先は三角形状です。時に、葉先は丸味を帯びます。

果実は袋果で、果実の袋が3〜5個であるのが特徴です。
果実は緑色から秋に入るころには褐色に熟します。
果実には毛が密生していてマジックテープのように衣服などにくっつく「ひっつき虫」です。

多摩丘陵では、限られた地域でごく稀に見られます。
2013年現在では、里山の林縁や草地などには進出していません。

■名前の由来
ヌスビトハギの仲間で、荒地に生育するという命名です。

■文化的背景・利用
外来種なので当然ですが、歌集や文献などには現れていません。

■食・毒・薬
毒性の報告はありませんが、食用にもできません。

■似たものとの区別・見分け方
草姿や花序が仲間(同属)のヌスビトハギフジカンゾウに似ています。
ヌスビトハギでは、個々の花は長さ5mmほどととても小さいのに対して、フジカンゾウアレチヌスビトハギでは花も果実も倍近く大きい。
また、ヌスビトハギやアレチヌスビトハギの葉は三出複葉(小葉3枚からなる葉)であるのに対して、フジカンゾウでは葉が奇数羽状複葉であることで容易に区別できます。
なお、ヌスビトハギは、植物学的にはマルバヌスビトハギの亜種または変種とされ、ヌスビトハギでは頂小葉が基部の方で幅が広いのに対して、マルバヌスビトハギでは葉先の方で幅が広いことで区別します。マルバヌスビトハギは多摩丘陵では未確認です。
さらに、植物学的には、陰地を好むヤブハギやケヤブハギもマルバヌスビトハギの亜種または変種とされますが、ヌスビトハギとよく似ていて区別は容易ではありません。多摩丘陵では、これらはまだ明確に確認できてはいません。
フジカンゾウは、個々の花はアレチヌスビトハギと同じくらいの大きさですが、果実の袋は2個で、3〜5個あるアレチヌスビトハギとの区別は容易です。また、ヌスビトハギやアレチヌスビトハギでは葉が三出複葉であるのに対して、フジカンゾウでは奇数羽状複葉です。    
  
写真は「花穂(1)」、「花穂(2)」、「果実」
と「葉」の4枚を掲載
アレチヌスビトハギ
アレチヌスビトハギの花穂(1)
アレチヌスビトハギ
アレチヌスビトハギの花穂(2)
アレチヌスビトハギ
アレチヌスビトハギの果実
アレチヌスビトハギ
アレチヌスビトハギの葉