ハルジオン(春紫苑)         
多摩の緑爺の「多摩丘陵の植物と里山の研究室」

ハルジオン(春紫苑) キク科ムカシヨモギ属
学名:Erigeron philadelphicus

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■特徴・分布・生育環境
ハルジオンは、大正時代に北米から観賞用に渡来した外来種です。
草丈30〜60cmくらいの越年草(あるいは多年草とも言われます)です。

早春から春にかけて花茎を立て、茎頂と上部に数個の花を群がらせるようにつけます。
蕾は項垂れているように下向きにつきます。

花は、中心に多くの黄色の筒状花をつけその周りに沢山の糸状の花弁(舌状花)を放射状につけます。
花や蕾はうすくピンクがかっている場合があります。

花茎は中空(真ん中に穴が空いている)です。
秋に芽生えて、ロゼット葉(放射状に地際に伸ばした葉)で冬を越します。

しばしば仲間(同属)のヒメジョオン(姫女苑)に対比させて語られます。
ハルジオンは早春から春一杯に花をつけていますが、ヒメジョオンはハルジオンと入れ代わるように春の終わりから咲き始めて秋まで咲いています。
なお、ヒメジョオンも同様に北米からの外来種で明治時代初に渡来しています。
  
渡来して歴史は浅いのに、既に多摩丘陵では里山の小道脇や草原に多く見られます。もちろん市街地の小さな緑地や公園などでも普通に見られます。

■名前の由来
秋に咲く野菊の仲間のシオン(紫苑)に似て花が美しく、春に咲くことからの命名です。
なお、紫苑は中国の漢字名の日本語読みのようです。

ただ、シオンは草丈2m近くになり、花ももっと美しく、あまり似ているとは言えません。
なお、シオンは多摩丘陵にはもともとの自生はなく、稀に植栽されているだけです。

しばしば、ヒメジョオンを、ハルジオンに対比させてヒメジオンと呼ぶことがありますが誤りで、標準的な和名は「ヒメジョオン(姫女苑)」です。

■文化的背景・利用
渡来して歴史が浅いこともあって、知られた詩歌などには現れていないようです。

■食・毒・薬
ハルジオンの葉は、テンプラなどいろいろに調理され、食用にされます。ヒメジョオンも同様です。
有毒であるという報告も薬用にするという報告もないようです。

■似たものとの区別・見分け方
ハルジオンとヒメジョオン(姫女苑)の花はよく似ていますが、
@ハルジオンの蕾は俯き加減につくのに対してヒメジョオンの蕾は(お姫様らしくツンと上向きにつく)、
Aハルジオンの茎は中空であるのに対してヒメジョオンの茎は(スポンジ状の髄が詰まっていて)中実です。
Bハルジオンの花茎は余り枝分かれしませんがヒメジョオンの花茎は上部で大きく枝分かれする。
ことなどで区別できます。    
  
写真は「花」(1)、「花」(2)、「冬のロゼット葉」
と「春の新葉と蕾」の4枚を掲載
ハルジオン
ハルジオンの花(1)
ハルジオン
ハルジオンの花(2)
ハルジオン
ハルジオンの冬のロゼット葉
ハルジオン
ハルジオンの新葉と蕾