■特徴・分布・生育環境
花時には草丈50〜70cmほどになる多年草です。
湿生があり、日当たりも良い場所に生育することが多い。
夏に、花茎をほぼ垂直に立て、花茎の下部から順に上部に向かって枝分かれさせ全体として円錐塔状の花序になります。
分岐した花茎のまわりにごく小さな花をびっしりとつけます。
花の色は、しばしば淡いピンク色になりますが白い場合もあります。
葉は、2〜4出(2から4回葉軸が枝分かれする)の羽状複葉(葉軸に沿って小葉が並ぶ)で、小葉の縁には荒い鋸歯(葉の縁のギザギザ)があります。
小葉の葉先は尾状に伸びません。
本州から九に分布し、東アジア・北アメリカにも分布します。
多摩丘陵では、個体数は少なく、やや湿性のある草地に生育します。
■名前の由来
食用キノコの乳蕈(ちちだけ)を採取するとこの草の茎に刺して持ち帰ったことから「チダケサシ」となった言うのが通説です。
ただ、他のキノコでなくなぜ乳蕈(ちちだけ)なのかがはっきりせず、疑問を呈する説もあります。
しばしば、花屋さんで「アスチルベ」として販売されている花は、この仲間かその園芸品種で、学名の属名「Astilbe(アスチルベ)」をとっています。
■文化的背景・利用
食用にも薬用にもするという報告はないようです。
なお、万葉集やその後の様々な和歌集や文芸などには現れていないようです。
■食・毒・薬
上述の通り、食用にも薬用にもしないようです。毒性も不明です。このような場合は食べるのは避けるべきです。
■似たものとの区別・見分け方
このような花序を持つ草本は多く、区別するのにとても苦労します。
〇根が赤いことから「赤」の名がある仲間(同属)のアカショウマは、チダケサシの花序によく似ていますが花序の一番下で枝分かれした花茎が長いこと、また下向きに湾曲することがほとんどであること、また葉先が尾状になっていることで区別できます。
〇やはり仲間(同属)のトリアシショウマも花序が似ていますが、トリアシショウマでは花序が枝分かれした後さらに枝分かれすることで区別できます。また、葉先も尾状に伸びています。
〇キンポウゲ科のサラシナショウマやイヌショウマも花序は似ていますが、花茎が横向きには枝分かれしないことで区別できます。
〇バラ科のヤマブキショウマは、葉がヤマブキに似ているという名ですが、葉で似た花序を持つ上記の植物と区別するのは難しいものがあります。
ヤマブキショウマでは枝分かれした花序の全ての長さがほとんど同じで、どちらかと言うと円錐塔状でなく放射状に見えることで区別できます。見た印象もだいぶん違います。
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写真は「花序」、「花」、「全体」と 「葉」の4枚を掲載 |
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チダケサシの花序 |
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チダケサシの花 |
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チダケサシの全体 |
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チダケサシの葉 |
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