■特徴・分布・生育環境
1900年代半ばに渡来したと推定されている北アメリカ原産の外来種です。全草有毒です。
草丈40〜60cmほどの一年草で、茎の中程でよく枝分かれして横に広がります。
日本に自生するイヌホオズキにそっくりです。
茎の途中に花茎を出し、その先でいくつかに枝分かれして数個の花(果実)をつけます。
花径は7mmほどと小さく、花色は白から淡い紫色まで変異があります。
果実は、径7mmほどの球形で熟すと黒くなります。初夏から秋まで長い間花や果実をつけています。
繁殖力が強いようで、現在では市街地のちょっとした草地から里山まで広く分布しています。多摩丘陵でもしばしば見かけます。
■名前の由来
イヌホオズキにそっくりで、実際には北アメリカ原産の外来種なので「アメリカイヌホオズキ」です。
イヌホオズキの名前の由来については、イヌホオズキのページを参照ください。
■文化的背景・利用
渡来して歴史が浅く、詩歌や文芸には無縁のようです。
この仲間(ナス属)は有毒なものが多いのですが、ジャガイモやナスなど野菜として栽培されるものも多くあります。
■食・毒・薬
栽培されているナスやジャガイモ(芽の部分や緑色の表皮を除く)などを除いて、一般にナス科の植物は全草が有毒でアルカロイド系のソラニンやサポニン等を含み、食べると嘔吐、下痢、腹痛や呼吸困難などをひきおこします。
アメリカイヌホオズキも同様なので、注意が必要です。
アメリカイヌホオズキ(イヌホオズキも)は、漢方では解熱剤や利尿剤などに用いるようです。
■似たものとの区別・見分け方
アメリカイヌホオズキとイヌホオズキの区別は大変困難で、「アメリカイヌホオズキの葉はうすく幅が狭い」や「花色が違う」などの区別方法が流布しているようですが、どの違いも個体変異の範囲であるために確実ではありません。
もっとも確実なのは、アメリカイヌホオズキでは花(果)柄が一か所で枝分かれして花や果実をつけるのに対して、イヌホオズキでは花茎の分枝が僅かにずれて並んでつくことです。
多摩丘陵では他に、ヒヨドリジョウゴの花がやや似ていますが、ヒヨドリジョウゴはツル性であること、花被片が後方に強く反り返ること、果実が赤熟することで容易に区別できます。
花や草姿がやや似たワルナスビでは茎や葉柄に鋭いトゲがあるので容易に区別できます。
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写真は「花」、「花と葉」、「全体」 と「果実」の4枚を掲載 |
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アメリカイヌホオズキの花 |
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アメリカイヌホオズキの花と葉 |
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アメリカイヌホオズキの全体 |
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アメリカイヌホオズキの果実 |
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