■特徴・分布・生育環境
落葉の高木で5mほど、時に15m近くになります。
樹皮は、暗赤褐色で平滑です。老木では不規則にはがれてまだら模様になります。
初夏に、葉が展葉し終えてから径7cm前後の白色(時に淡紅色)の4弁の花をつけます。
花弁に見えるのは苞葉で、花の中心に20個程度の径3mmほどの緑色の小さな花を塊のようにしてつけます。
果実は径1.5cmほどの球形で、長さ3cmほどの長い果柄の先につけます。初秋から秋に赤から暗赤色に熟します。
葉は、長さ12cmほどの広卵状楕円形で葉先は鋭三角形状です。
ミズキ科の特徴でもありますが、葉脈が葉縁に沿うように湾曲しています。
分類的にも学名的にも、ミズキ属とされたりヤマボウシ属として独立させたりと、定まっていないようです。
本州以西から朝鮮半島・中国大陸に分布します。
多摩丘陵では、自生のものがあったかどうかは判っていませんが、2010年現在では人家周辺や公園などに植栽されています。
近年、街路樹などにも植栽されています。
■名前の由来
中心に集まった淡黄緑色の球形のとても小さな花の塊を法師の坊主頭に、白い花被片を、法師の頭巾に見立てた命名であるというのが一般的です。
■文化的背景・利用
万葉集で「柘(つみ)」として現れているとされていて、数首に詠われています。
江戸時代の「本草綱目啓蒙」などの本草書にその名が現れています。
材は、硬くてねばりがあるので、器具材・下駄の歯・櫛などに利用されます。
■食・毒・薬
果実は、甘みがあって生食できます。また、果実酒にし、滋養強壮によい薬用酒であるとされています。
有毒であるという報告も、薬用にするという報告もないようです。
■似たものとの区別・見分け方
近縁の外来種ハナミズキの花が似ていますが、ハナミズキでは花被片の先が糸でくくったようになっているのに対して、ヤマボウシでは花被片の先は尖っています。また、ハナミズキの花は、春に葉の開く前に開花するのに対して、ヤマボウシの花は初夏に咲き、葉が茂った後に花開きます。
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写真は「花」、「花と葉」、「熟した果実」 と「幹」の4枚を掲載 |
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ヤマボウシの花 |
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ヤマボウシの花と葉 |
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ヤマボウシの熟した果実 |
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ヤマボウシの幹 |
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