| ■特徴・分布・生育環境
日本固有種です。 多摩丘陵では、２０１０年現在、この２０年ほどの間に急激に個体数を減らしていて地域絶滅が危惧されます。いくつかの県でも絶滅危惧種に指定されています。 草丈２０ｃｍほどの多年草です。 春に、普通は地際で茎を分け、茎をほぼ直立させ、高さ８ｃｍに及ぶ円錐塔状の花穂を立てます。淡紫色の１ｃｍほどの花を花穂の周囲に多くつけます。 葉や茎に毛が多く、そのせいで葉は緑白色に見えます。 葉は、長さ３〜５ｃｍほどの長楕円形で葉先は丸みを帯びます。 この仲間（同属）を代表するキランソウでは、茎は地面に沿って伏していて草姿はまったく違います。 この仲間では、他に同様に茎をほぼ直立させて、葉腋に数個の花をつけるツクバキンモンソウや、近年目立つようになってきたよく似た外来種のセイヨウジュウニヒトエがあります。 本州・四国に分布します。 ジュウニヒトエは、近年では多摩丘陵ではめったに出会えません。ただし、明るい林床でよく下草が刈られている場所では、まだ自生が見られます。 ■名前の由来 花穂に花が重なり合う様子を、平安時代の女官の衣装「十二単」にたとえたものであるという説が一般的です。ただ、この名がつけられたのは鎌倉時代にはいってからであるという説があります。 なお、江戸時代の本草学者である小野蘭山は、漢名に夏枯草（かこそう）をあて、夏に新旧の葉が入れ替わる様子からの命名であるとしているとのことです。 ■文化的背景・利用 名前が優美である割には、知られた詩歌や文芸等にはその名は現れていないようです。また、多くの本草書等にも現れていないようです。 ■食・毒・薬 明確に有毒であるという報告も薬用にするという報告もないようです。 このような場合、食用にするのは避けるのが賢明です。 ■似たものとの区別・見分け方 〇上述の通り、仲間（同属）で、同じように茎を立てるツクバキンモンソウでは、花は葉腋につけ、葉の葉脈に紫条が入ることで容易に区別できます。 〇近年観賞用に持ち込まれあちこちに植栽され、時に半野生化している外来種のセイヨウジュウニヒトエでは花色が濃い青紫色で、葉の表面に照りがあることで容易に区別できます。 〇この仲間（同属）を代表するキランソウは、茎を地面に張りつけるように伸ばして葉腋に花をつけるので容易に区別できます。 |
| 写真は「花」、「花と葉」と「全体」 の３枚を掲載 |
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| ジュウニヒトエの花 |
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| ジュウニヒトエの花と葉 |
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| ジュウニヒトエの全体 |