多摩の緑爺の植物文化誌 |
5月:3.「夏の到来を告げる卯の花」 −ウツギ |
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ウツギは、万葉の時代から「卯の花」として親しまれてきました。旧暦の「卯月(うづき)」に咲き始めるので「卯の花」です。
なお、「ウツギ」は「空木」でユキノシタ科ウツギ属の落葉低木です。白い花を房状に多くつけます。
「卯月」は陰暦四月のことで、現代の暦で言えば5月上旬から6月上旬頃にあたります。 夏の到来を告げる花として象徴的にとりあげられてきたようです。
夏の季語です。
万葉集には24首ほどで「卯の花」が詠われています。その多くは、夏鳥として渡来する霍公鳥(ほととぎす)とともに詠まれています。
たとえば、
「皆人(みなひと)の 待ちし卯(う)の花 散りぬとも 鳴く霍公鳥(ほととぎす) 我れ忘れめや」
「霍公鳥(ほととぎす) 来(き)鳴き響(とよ)もす 卯(う)の花の、共にや来しと 問はましものを」
また、よく知られた歌曲にも、
「♪卯の花の匂う垣根に ホトトギス 早も来鳴きて・・・夏は来ぬ」
と「卯の花」が「ホトトギス」とともに歌われています。
なお、「卯月」は、苗を植える月から「う月」となった、あるいは種が芽を出す「産み月」から転訛したものと言われています。
昔は、「卯の花(ウツギ)」には、邪鬼や悪霊を追い払う力があるとされ、境界樹などとしてしばしば植栽されていました。
ところで、ウツギの名は6科11属にもわたる植物名に使われていて、通常は茎が中空であることを意味していますが、多くの場合髄が詰まっています。
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