多摩の緑爺の植物文化誌 |
4月:4.占いの植物1−「ウワミズザクラ」 |
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ウワミズザクラ(上溝桜)は、花の付きかたがビンを洗うブラシのような形態なので、サクラの仲間とは思えないところがありますが、れっきとしたバラ科サクラ属の落葉高木です。
本州中部の平野部でも普通に自生しています。
昔から人の生活との関わりあいが深い植物だったようです。波波迦(ははか)あるいは朱桜(かにわさくら)として古事記に現れる木はウワミズザクラのことであると言われています。
この木の材に溝を彫って火を起こし、鹿の肩骨あるいは亀の甲羅を焼いて、そのヒビの割れ方によって吉凶を占ったようです。
ウワミズザクラ(上溝桜)の名もこのことから命名されたようです。
「古事記」の天の岩戸(あまのいわと)神話にも、天香久山(あまのかぐやま)の雄鹿の肩骨をこの木で焼いて吉凶を占ったとあります。
この材は堅く、地方により金剛桜あるいは鉈柄(なたづか)などと呼び、版木や彫刻材などにも使われます。
また、この花にアンズに似た香りがあるところから新潟などでは花のつぼみを塩漬けにしたものを「杏仁子(杏仁香)」(あんにんご)と呼び食用にします。
まだ熟していない若い果実を果実酒にします。
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