多摩の緑爺の植物文化誌 |
3月:4.「山菜」、それに「紛らわしい毒草」事故 |
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「山菜」は、野山に“自生する”植物を採集して食べることを意味していますが、現代では「食料」という意味合いよりも「美食」の意味合いが強くなっているようです。
とはいえ、現代でも山村などでは早春の貴重な食料源として大事にされていますが、山菜の中でもタラの芽、ゼンマイ、コゴミやコシアブラなどは、都会や旅館・料亭などに出荷されて、食料というよりは貴重な現金収入ともなっているようです。
「山菜」については、前項をご参照ください。
なお、「山菜」という呼び名は、江戸時代に、栽培されるものを「野菜」として区別するようになったことによるとされています。
しかし、最近では、都会から訪れるひとのレジャーの一環としての山菜採りが増えてきて問題も発生しています。
山村などで暮らす人々は、山菜採りをしても必ず数株を残すようにして絶やさないようにしますが、都会人は付近一帯のものを全て採取してしまって根絶やしにしてしまったり、タラの二番芽までもむしりとって、タラの木を枯らすなどの問題を起こしています。
それだけでなく、生半可な知識で採取するために山菜とよく似た毒草を食べてしまう中毒事故がしばしば起きています。
よく知っていれば、まるで違うのですが、生半可な知識程度の場合には、同じに見えてしまうようです。
よく間違われるものに、「ニリンソウ」と「トリカブト」、「オオバギボウシ」と「バイケイソウ」、それに「セリ」と「ドクゼリ」などがあります。
ニリンソウは、ほとんどが有毒なキンポウゲ科の植物の中では珍しく食べられて、結構美味しいものです。早春の新葉をおひたしなどにします。この新葉と猛毒のトリカブトの新葉を間違えることが多いようです。
実際には右側(上:ニリンソウの若葉、下:トリカブトの仲間の新葉)の写真のようにかなりの違いがあります。
ニリンソウの葉は、裂れ込みが少なく、裂片の幅も大きいのに対して、トリカブトの仲間の新葉は、葉の中心部まで多くの裂れ込みが入っていて、裂片の幅が狭いのが特徴です。
オオバギボウシ(左の写真)はユリ科の多年草で、名の通り幅20cmを越す大きな葉が特徴です。山菜としては「うるい」と呼ばれ、ひとによっては山菜の王者であるとされます。新葉をおひたしや和え物にします。
また、葉柄を塩漬けにしたり、茹でて天日に干したものをヤマカンピョウと呼んで保存食にします。
同じユリ科の多年草のバイケイソウは、芽生えのころは左の写真のオオバギボウシの芽生えにそっくりです。
葉柄の有無(オオバギボウシには長い葉柄がある)、茎の有無(バイケイソウにはかなり太い茎がある)などで区別できますが、芽生の頃には結構困難です。
見分けるポイントは、バイケイソウでは葉脈の支脈が主脈に平行しているのに対して、オオバギボウシでは、葉脈は主脈から支脈が葉の縁に向かって枝分かれしていることにあります。
また、「セリ」(右の写真)には、よく似た猛毒の「ドクゼリ」があるので注意が必要です。
ドクゼリはドクゼリ属で別属です。
ドクゼリは、茎が中空、香りがない、葉がやや細長い、根茎がタケノコのように太くて緑色で節があることで区別できます。
セリでは根は細いヒゲ根です。
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