多摩の緑爺の
植物文化誌
2月:1.「節分」 −ヒイラギと大豆(原種はツルマメ)
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節分は「季節を分ける」ことを意味していて、もともとは四季の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のことであったものが、近代には立春の前日を指すようになっています。
節分には邪気や鬼が生じると考えられていて、それを追い払うために「柊鰯」(ヒイラギとイワシ)を戸口に掛けたり、「豆撒き」をしたりする習俗が生まれました。
「柊鰯」は、ヒイラギの小枝をイワシの頭と一緒に戸口に立てておいたり、掛けたりするもので、ヒイラギの葉のトゲと焼きイワシの臭いで鬼を追い払うという習俗です。
また、日本では古くから、穀物には邪気を払う霊力があると考えられていて、神社やお寺が邪気や鬼を払うために行っていた「豆打ち」の儀式と、宮中で行われていた大晦日の行事「追儺」(ついな:簡単に言えってしまえば桃の弓と蘆の矢で鬼を祓うといった儀式)とが節分の行事として一緒になって、15世紀、室町時代に民間に広まったものが節分の「豆撒き」です。
煎った豆を使うのは、撒いた豆を歳の数だけ拾って食べるためでもありますが、拾い残した豆から芽が出るとよくないことがあるという言い伝えによります。
豆を撒くときに「福は内、鬼は外」と声に出すのは、家の中から鬼を追い払い、福を家の中に招き入れるという意味ですが、鬼を祀った神社などでは逆に「鬼は内」と言うそうです。
なお、ヒイラギは晩秋から初冬に白い小さな花を葉腋に群がらせるようにつける小高木で、葉の縁に鋭いトゲがあるのが特徴です。
近縁のキンモクセイの花によく似た4弁花で、よい香りがします。「ヒイラギ」の名は、古語で葉のトゲなどで痛いことを「ひひらぐ」と言ったことからの命名です。
クリスマスに用いるヒイラギは、モチノキ科のセイヨウヒイラギで、モクセイ科のヒイラギとは全く別種です。
また、大豆(だいず)は、多摩丘陵にも自生するツルマメを原種とする栽培品種であるとされています。
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