多摩の緑爺の植物文化誌
1月:7.「水仙」 −歴史的には比較的最近渡来した

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スイセン
「水仙」は花の少ない厳寒期に美しい花をつけるので、昔から親しまれてきました。しかし、万葉集や古今和歌集などには、一切歌われていません。
それもそのはずで、日本に渡来したのは室町時代の頃で、歴史的に見れば比較的最近です。

江戸末期の古今要覧稿には、水仙は厳寒期に開花してくれて花期も長く、香りもよいのに歌にも詠われず辞典などにも載っていないのはこの花の不幸である、といった記述があるとのことです。
ただ、江戸時代の「本草綱目啓蒙」にその名が現れています。また、芭蕉の句集にも数句で詠われています。

「水仙」の名は、「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」と言う」という中国の古典から命名されました。

学名(属名)のNarcissus(ナルキッスス)は、ギリシャ神話からの命名です。
水に映った自分の姿に恋をして見続けていたら1本の花になってしまった少年の名前から命名されています。その花がスイセンです。ナルシストの語源です。

「ニホンズイセン」などと呼ばれますが、地中海沿岸などが原産地です。伊豆の爪木アや越前海岸などに野生化した群生地があります。

ただし、スイセンはヒガンバナ科で全草有毒なので注意が必要です。少量の葉などでも、食べると下痢などをひきおこします。
特に、鱗茎には強い毒性があり、誤って食べると、下痢、嘔吐、腹痛、痙攣や神経麻痺を惹き起し、死に至る危険があります。


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