多摩の緑爺の
植物文化誌
1月:4.「お正月の縁起飾り」 −「千両、万両、有り通し」
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お正月には、赤い果実をつける矮小低木を飾りますが、これは「千両、万両、有り通し」として金運に恵まれるという縁起物です。
すべて冬に赤い実をつける矮小木本です。千両は、センリョウ科センリョウ属のセンリョウで、万両はヤブコウジ科ヤブコウジ属のマンリョウ、有り通しは、アカネ科アリドオシ属のアリドオシ(蟻通し)のことです。
また、アリドオシには一両の別名もあり、やはり冬に赤い果実をつけるヤブコウジ(ヤブコウジ科)を十両、カラタチバナ(ヤブコウジ科ヤブコウジ属)を百両として、ともに金運を願う縁起物とされています。
古くから親しまれていて、万葉集や源氏物語にもその名が現れています。
「吾が屋前(にわ)の 花橘の いつしかも 珠に貫くべく その実成りなむ」 万葉集 大伴家持
ただ、この歌の「花橘」は、センリョウやマンリョウであるとする場合もありますが「タチバナ」とする説が有力です。
「この雪の 消残る時に いざ行かな 山橘の 実の照るも見む」 万葉集 大伴家持
この歌の「山橘」を「ヤブコウジ」であるする説があります。
なお、センリョウは、ヒトリシズカなどの仲間で花には花弁やガクを欠き、似たマンリョウとは全く別種です。
さらに、「難を転じる」という意味で、ナンテン(南天:メギ科ナンテン属)の果実もよく飾られます。
また、福寿草(フクジュソウ)を寄せ植えして「難を転じて福を為す」という縁起を担いだりします。
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