多摩の緑爺の植物文化誌 |
12月:2.「サザンカ」 −日本特産種 |
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サザンカ(山茶花)は日本特産種です。ですから学名(属名)も「Camellia sasanqua」(カメリア サザンクァ)です。
もともとの自生地は中国地方西部以西ですが、花の少ない初冬に花をつけるので珍重され各地に植栽されていて、現在では馴染みの深い花木になっています。
ですが、古い時代の文献や、万葉集などの歌集にも詠われていません。ちょっと不思議です。
「サザンカ」の呼び名は15世紀の文献にはじめて現れるとされていて、古い時代には、日本に自生するヤブツバキと区別されずに「つばき」とされていたようです。
江戸時代の俳句に、
「山茶花の 木間見せけり 後の月」 蕪村
があります。
「♪サザンカ、サザンカ咲いた道・・・」と歌にも歌われています。この歌はサザンカの歌だと思っているひともいるようですが、題名は「たき火」で落ち葉焚きの歌です。
近世には、
「山茶花の 花や葉の上に 散り映えり」 高浜虚子
が知られています。
原種の花は白色です。江戸時代以降に多くの園芸品種が作出され、現在では、花色が淡紅色から赤色、また、八重咲きのものまでいろいろあります。
また、ツバキの仲間(ツバキ属:カメリア属)は、ほぼ全てが落花する際に花の形を保ったまま落ちますが、サザンカだけは花弁がバラバラに落ちるのが特徴です。
俗説として「武家はツバキの落花する様子を首が落ちる様子に似ているとして嫌った」というものがありますが、江戸城にも多くのツバキが植栽されていて好まれていたというのが正しいようです。
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