| ■特徴・分布・生育環境
小型の多年草です。やや乾燥した小道や裸地に比較的よく見かけます。 地際に長さ５〜１０ｃｍの葉柄の先に長さ１０〜１５ｃｍほど（小さな葉もあります）の卵型の葉を１０枚以上放射状に広げ、中心から数本の長い花茎を立てます。茎葉ありません。 春〜秋の初めまで、やや垂直に立てる花茎は２０〜３０ｃｍ近く、時に５０ｃｍにもなり、茎頂にとても小さな花が密に集まって細長い穂状（総状花序）になります。 花は花穂の基部から順に咲きます。花は花弁はなく、花冠は白色でオシベとメシベが目立ちます。 日本各地から北東アジアに分布します。 多摩丘陵では、堤防上や農道、やや乾燥した荒地などによく見かけます。 ■名前の由来 「オオバコ」の名は、「大葉子」で「葉が大きい」という意味のようです。ですが、葉がそれほど大きいわけではなく、人が踏みつけたような乾燥した裸地でも、長卵型の葉を地際に張り付くように放射状に広げている様子から、葉が目立つからではないかと思われます。 漢名の「車前子」は、手押車などで農道などを行くと、車の前に目立つことからの命名のようです。 ■文化的背景・利用 オオバコは、子供たちが向かい合って茎を絡み合わせて引っ張り、どちらが先に切れるかを競う「オオバコ相撲」をして遊びます。 万葉集や古今集などに「若菜摘み」や「春菜摘み」などと詠われている食草に、オオバコも含まれていたという説があります。 平安時代の「倭名類聚抄」や「本草和名」に「車前子」として「和名 於保波古（おほばこ）」として現れています。 江戸時代の「本草綱目啓蒙」や貝原益軒による「大和本草」などにその名が現れています。 ■食・毒・薬 オオバコは、生薬名を「車前子」などと呼び、全草を陰干ししたものを煎じて飲めば、消炎、咳止めや利尿などに効能があるとしています。 オオバコの葉は、刻んで炒めて調味料をくわえるなどして食べると美味しい。 ■似たものとの区別・見分け方 〇江戸時代末期に渡来した欧州原産の外来種、ヘラオオバコでは、高さ６０ｃｍにもなる長い花茎や花穂の姿から容易に区別できます。 〇同じく外来種で大正時代初期（１９１０年頃）に北米から渡来したツボミオオバコは、オオバコに似ていますが花穂の花がほとんど開かないので「ツボミ」ですが、根生葉が長楕円形で葉柄が目立たず斜めに立ち上がることでオオバコとは区別できます。 ツボミオオバコは多摩丘陵では未確認ですが、見落としている可能性があります。 〇トウオオバコは、全体にオオバコの２倍ほど大型で海岸近くに生育します。多摩丘陵では自生は確認していません。 |
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| オオバコの全体 |