| ■特徴・分布・生育環境
昭和の初めに野生化していることが確認された欧州原産の外来種で、セイヨウオトギリソウの変種です。 草丈３０ｃｍ〜５０ｃｍほどで、茎を直立させて多くの枝を分けます。 夏に、茎頂に数個の径２ｃｍほどの黄色の５弁花を群がらせるように多くつけます。 葉が小さいのが特徴です。葉は茎に多く付き、長さ約１.３ｃｍほどの狭楕円形で葉先は通常円形です。 オトギリソウの仲間には葉や花に「明点」や「黒点」（油点）があるのが特徴ですが、コゴメバオトギリでは葉を透かして見ると明点があり、葉の縁に細かい黒点が散在します。 多摩丘陵では鶴見川水系の堤防に時々見られます。 ■名前の由来 オトギリソウの仲間で、葉が小さいことをお米に例えて「小米葉」です。 「弟切草」とは物騒な名前ですが、昔、秘密の薬草を用いて鷹の傷を治すことで有名な鷹匠（たかしょう）の兄弟がいましたが、ある時、弟がその薬草の名を漏らしたことに怒った兄がその弟を切り殺してしまったという伝説があります。その時の血しぶきがオトギリソウにかかって油点になったとされています。 ■文化的背景・利用 江戸時代の貝原益軒による「大和本草」、あるいは「和漢三才図絵」などの本草書にオトギリソウの名が現れていますが、渡来して歴史が浅いコゴメバオトギリはもちろん現れていません。 知られた詩歌や文芸などには、オトギリソウとしても現れていないようです。 ■食・毒・薬 オトギリソウは薬草としてよく知られていて、神経痛、リュウマチ、痛風などの鎮痛や月経不順などの内用薬・浴用薬、打ち身や外傷の外用薬に効能があるとされています。 葉に赤い色素毒があり、紫外線にあたると毒性が現れ、皮膚炎などを惹き起します。 コゴメバオトギリは、同様に毒性があると推定されますが、薬用に用いられるかどうかは不明です。 ■似たものとの区別・見分け方 オトギリソウの仲間（オトギリソウ属）は、みなよく似ていますが、コゴメバオトギリは葉が小さいことで区別できます。 植物学的には、明点や黒点（油点）の種類や葉内部の分布のしかたで最終的には分類されるので、オトギリソウの仲間は一般には区別が困難な種類です。 また、地域的な固有種や地域的変種も多いので、余計に難しくなっています。 ただ、トモエソウだけは花弁が巴型なので容易に区別できます。 |
| 写真は「花」、「全体」と「葉」の３枚を掲載 |
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| コゴメバオトギリの花 |
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| コゴメバオトギリの全体 |
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| コゴメバオトギリの葉 |