■特徴・分布・生育環境
半常緑(一部の葉が冬にも散らずに残る)のツル性木本です。よく分枝して長く伸び、林縁やフェンスなどにからみつきます。
晩春から初夏に、甘い芳香のある花を2個づつつけます。
花冠は上下に大きく2裂する唇形で、長さ3〜4cm、上唇はやや幅広ですが、下唇は広線形です。
花は、初め白色ですが、しだいに黄色に変わるのが特徴です。
また、花の芳香は夜のほうが強くなります。これは花粉を媒介する蛾(が)を呼び寄せるためと考えられています。
また、オシベやメシベが花冠から長く突き出しているのも特徴です。
葉は対生(対になってつく)し、葉先が鈍三角形状の長さ3〜7cm前後、幅1〜3cm前後の長楕円形ですが、大きさや形に変異が多く、特に春先の葉は羽状に浅裂するものから深裂するものもあります。葉の縁は全縁(ギザギザがない)です。落葉しない葉は、冬には内側にやや巻きます。
北海道南部から本州以西に分布します。北東アジアにも分布します。
多摩丘陵では、日当たりのよい林縁やフェンスなどに比較的よく見かけます。
■名前の由来
スイカズラ(吸葛)の名は、子供たちが花蜜を吸ったことから「吸い」で、ツル性なので「かずら(葛)」です。
「忍冬」は、漢名で冬の寒さを耐え忍ぶように葉が残ることからの名です。
別名の「キンギンボク(金銀木)」も漢名で、白い花と黄色の花が同居することからです。
■文化的背景・利用
知られた詩歌や文芸などにはその名は現れていないようです。ただ、江戸時代の蕪村の句集に詠われています。
平安時代の「倭名類聚抄」や「本草和名」に「忍冬」として「和名 須比加豆良(すいかずら)」の名が現れていて、古い時代から知られた存在であったようです。
江戸時代の「本草綱目啓蒙」や貝原益軒による「大和本草」などにその名が現れています。
■食・毒・薬
晩秋から冬の葉と茎を刻んで乾燥させたものが生薬「忍冬(にんどう)」で、煎じたものに抗炎・抗菌作用があり、解熱、解毒や利尿などに効能があるとされます。
花の蕾を日陰で乾燥させたものが生薬「金銀花」で、「忍冬」と同様な効能があるとされています。
若い葉は、塩を入れた熱湯でゆでて、水に晒してあえものや煮物など、食用にできます。
花と蕾(金銀花)を、1.8リットルのホワイトリカーに30グラムほどの砂糖と100グラムほどの金銀花を入れて1カ月以上熟成させたものが「忍冬酒」で、甘い香りがあって、利尿作用があり、膀胱炎や腎臓病などに効能があるとされます。
また、乾燥させた葉を煎じたものをお茶のようにして飲用する「忍冬茶」には、毒消しの効能があるとされます。
■似たものとの区別・見分け方
多摩丘陵に似たものはありません。
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写真は「花1」、「花2」と「葉」 の3枚を掲載 |
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スイカズラの花1 |
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スイカズラの花2 |
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スイカズラの葉 |
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