スギナ(杉菜)、ツクシ(土筆)         
多摩の緑爺の「多摩丘陵の植物と里山の研究室」

スギナ(杉菜),ツクシ(土筆) トクサ科トクサ属
学名:Equisetum arvense

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■特徴・分布・生育環境
本研究室では、基本的に多摩丘陵の被子植物と裸子植物を調査研究しています。シダ植物は、適切な説明や写真撮影が難しく区別が困難であることもあり対象としていません。ただ、形態が特徴的で分りやすいスギナやその胞子茎であるツクシは、よく親しまれているので掲載しています。

多摩丘陵にシダ植物は70種以上が自生しますが、日当たりのよい所にも生育するので比較的よく見かけるカニクサやゼンマイなどを除けば、主として湿性のある陰地や半陰地に生育するイモト類、ベニシダなどオシダの仲間やハナワラビの仲間などは、生育できる環境が激減していて、2010年現在では種数も個体数も減ってきています。

スギナは表現は適切とは言うえないところがありますが多年草です。
早春に、高さ10cm〜20cmほどの胞子茎であるツクシ(土筆)を出して胞子をまき散らします。

ツクシが出た後、春に栄養茎であるスギナが芽生えます。
高さ15〜25cmになるホウキ(箒)のような形で、細い線形に枝分かれする多くの茎を叢生させます。
  
日本各地に分布します。北半球の温帯から暖帯に広く分布します。
多摩丘陵では、耕作地の土手や鶴見川水系の堤防などにしばしば見かけます。

■名前の由来
スギナの名は、草姿が杉の葉に似ていることから「杉菜」となったという説や、節のところで抜いても継ぐことができるので、継ぐ菜(つぐな)から転訛したなどの説があります。

スギナの胞子茎である「ツクシ」の名は、スギナに付いているということから付く子から転訛したという説や、地面から突き出している様子から「突く子」から転訛したなど、諸説があります。
なお、ツクシの漢字名「土筆」は、その姿を筆にたとえたものです。

■文化的背景・利用
スギナもツクシも万葉集を始め、知られた詩歌や文芸などには現れていないようです。
江戸時代の「本草綱目啓蒙」などにその名が現れています。

■食・毒・薬
スギナの栄養茎(ツクシが出た後に出る)を天日乾燥させたものを煎じて「スギナ茶」として飲用すると、糖尿病、肝臓病、腎臓病など広く効能があるとされています。ただし、1日10g程度の少量でないと、逆に胃腸疾患や泌尿器疾患などを惹き起す恐れが高いので注意が必要です。

スギナの胞子茎であるツクシは、茎にあるハカマ(袴)を取り除いて、水に晒すか茹でるかしてアクを抜き、卵とじなどにして食用にできます。

■似たものとの区別・見分け方
多摩丘陵には、似たものはありません。    
  
写真は「スギナの全体」と
「スギナの胞子茎ツクシ」の2枚を掲載
スギナ
スギナの全体
スギナ/ツクシ
スギナの胞子茎ツクシ