■特徴・分布・生育環境
落葉性のツル性の木本とする場合と草本とする場合があります。全草が有毒です。
初秋に、枝の先や葉腋に多数の花を房状(三出集散状花序)につけます。
花は、径2〜3cmで花被片は白色で4枚です。花被片は細長く、花弁はなく(キンポウゲ科の特徴でもあります)ガク片が色づいています。
葉は、5枚の小葉からなる羽状複葉ですが、基部の一対の小葉が上部の3枚の小葉から離れているので、ちょっと見た印象では三出複葉に見えます。小葉は長さ2cm前後のほぼ卵型で葉先は円形です。小葉の縁は全縁(葉の縁にギザギザがない)なのが特徴です。
晩秋につける種子には白色の長い毛があり、多くが集まっているのでもじゃもじゃに見えます。
学名(属名)からわかるようによく園芸用に植栽されているクレマティスの仲間です。ただ、花の形態は似ているとは言えません。
日本各地から北東アジアに分布します。
多摩丘陵では、明るい林縁に比較的よく見かけます。
■名前の由来
種子につく白い長い毛の集まりを仙人のヒゲにたとえたという説が一般的ですが、確かではないようです。
■文化的背景・利用
万葉集を始め、その後の多くの歌集や文芸、あるいは近世の詩歌などには知られたものはないようです。
江戸時代の貝原益軒による「大和本草」などにその名が現れています。
■食・毒・薬
全草が有毒で葉や茎の汁に触れると皮膚炎を惹き起し、誤って食べると胃腸炎や嘔吐などを惹き起し、多量に食べると生命の危険もあります。
民間で、葉を磨り潰して外用し、扁桃腺炎に効能があるとされていますが未確認です。いずれにしても内用は危険です。
■似たものとの区別・見分け方
花や草姿がよく似た仲間(同属)のボタンヅルは、葉が三出複葉で、小葉の縁に粗い鋸歯(葉の縁のギザギザ)があることで、小葉が全縁であるセンニンソウと容易に区別できます。ボタンヅルは多摩丘陵では未確認です。
ハンショウヅルも仲間(同属)ですが、全く似ていません。
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写真は「花1」、「花2」、「葉」と 「若い葉」の4枚を掲載 |
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センニンソウの花1 |
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センニンソウの花2 |
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センニンソウの葉 |
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センニンソウの若い葉 |
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