■特徴・分布・生育環境
山野に自生する落葉高木で高さ4m〜10mほど、時に15mほどになります。雌雄異株です。全体に有毒です。
晩春に、径1cmに満たない緑黄色の小さな花を、やや円錐塔状の花序(集散花序)に多くつけます。花は新葉の展葉の後につけます。なので、注意していないと気がつきません。
花弁は長さ3mmほどの楕円形で、普通は4枚です。雄株の雄花は花序に40個前後と多くつきます。雌株の雌花は、花序にせいぜい10個ほどがつきます。雌花の花の中心にある花盤は普通4個に分かれていますが、花が小さいので見た目での判断は難しい。
果実は径6mm前後の偏球形で3個ほどに分かれていて、初秋に黒っぽく熟します。
葉は、奇数羽状複葉(葉軸の左右に行儀よく小葉をつけ先端に一枚の小葉をつける)です。大きさはいろいろあり、長さ15〜25cmほどもあります。小葉は4〜6対です。小葉は長さ4〜7cm、幅1〜3cmの卵状(基部の方が幅が広い)の狭楕円形で、葉先は鋭三角形状に伸びています。
葉の付き方は互生(枝に互い違いにつける)です。
葉だけを見ると、全く別種のミカン科のキハダにやや似ていますが、キハダの小葉は明らかに幅が広い。なお、キハダの成木の樹皮にはコルク層が発達していて粗く裂け目がはいるので、樹皮を見れば区別できます。
樹皮、幹、枝や葉など、全体に強い苦みがあります。葉などを少量噛んでも、最初は苦みを感じませんが、すぐに強い苦みを口内全体に感じて後まで残ります。
樹皮が「平滑で紫色を帯びた黒褐色」なのが特徴のひとつです。
日本各地から北東アジアに広く分布します。
多摩丘陵では、点々と自生の報告がありますが、出会うことは少ない。東京都の中島氏に教えていただいてやっと判るようになりました。
■名前の由来
上述の通り、全体に強い苦みがあるので「苦い(ニガ)木」です。
■文化的背景・利用
知られた詩歌などにはその名は現れていないようです。
江戸時代の貝原益軒による大和本草にその名が現れているとされます。
■食・毒・薬
幹、枝や葉、種子など全体に強い有毒成分を含みます。誤って食べるとケイレンなどを惹き起こします。
漢方では、苦み健胃薬に利用されるようですが、一般での利用は危険です。葉を農業用殺虫剤などに利用することがあるようです。
もちろん、食用にはできません。
■似たものとの区別・見分け方
上述のように、葉だけを見ると全く別種のキハダ(ミカン科)に似ていますが、キハダの成木の樹皮にはコルク層が発達していて粗く裂け目が入るので、容易に区別できます。また、キハダの葉は、ニガキの互生とは違って対生(対になってつく)です。
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写真は「葉」、「花(雌花)」と「幹」 の3枚を掲載 |
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ニガキの葉 |
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ニガキの雌花 |
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ニガキの幹 |
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