カラスノゴマ(烏の胡麻)         
多摩の緑爺の「多摩丘陵の植物と里山の研究室」

カラスノゴマ(烏の胡麻) シナノキ科カラスノゴマ属
学名:Corchoropsis tomentosa

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■特徴・分布・生育環境
ほとんどが木本であるシナノキ科には珍しい1年性の草本です。
草丈は30cm〜60cmほどになります。

茎をほぼ直立させて、初秋に茎葉の腋から長さ3cmほどの花茎を出して花径2cmほどの黄色い5弁の花を、数個ほぼ平開させます。
写真で見ると花は大きく見えますがそんなに大きくはなく、葉陰に咲くので気づき難いところがあります。

花から多くの長い雄蕊が突き出しているように見えますが、これは仮雄蕊で本物の雄蕊は短く、花冠の基部に縮んだようについています。
  
ゴマの名はありますが、ゴマ(胡麻)はゴマ科ゴマ属の一年草で全く別種です。

葉は、長さ6cm前後の葉先が三角形状の卵型です。葉の縁にはやや波状の鋸歯(ギザギザ)があります。
果実は長さ5cm前後の細長い円柱形の袋状(朔果)で、内部に径3mmほどの卵型の小さな種子が入っています。
なお、胡麻の果実は円筒形型で茎にそってつき、全く似ていません。種子が小さいことは似てはいます。
関東以西の本州から朝鮮半島・中国大陸に分布します。

多摩丘陵では、「2010年現在、この5年ほどは確認できなくなってしまっていて地域的な絶滅が危惧されます」としていましたが、2013年に東京都の中島氏よりご連絡があり、自生が残されていることを確認できました。
ただ、中島氏も自生地は減ってきているようであるとされていたので、地域的な絶滅の危惧は残ったままのようです。

■名前の由来
果実の形は似ていませんが、種子が小さいのでゴマに見立て、人に利用されることはないので「カラス」と冠されたようです。

■文化的背景・利用
シナノキ科の特徴ですが茎の繊維が強く、カラスノゴマも昔、麻の代用にされたようです。
江戸時代の小野蘭山の「本草綱目啓蒙」に漢名の「田麻(でんま)」の名とともにカラスノゴマの名が現れています。
万葉集などには現れていないようです。

■食・毒・薬
有毒であるという報告も、薬用にするという報告もないようです。もちろん、食用にもできません。

■似たものとの区別・見分け方
多摩丘陵には似たものはありません。    
  
写真は「花」、「花と全体」、「果実」
と「葉」の4枚を掲載
カラスノゴマ
カラスノゴマの花
(仮オシベの基部に縮んだオシベ)
カラスノゴマ
カラスノゴマの花と全体
カラスノゴマ
カラスノゴマの果実
カラスノゴマ
カラスノゴマの葉