■特徴・分布・生育環境
1900年代半ばに北アメリカから観賞用に渡来(原産は南米)した外来種です。
花時の草丈は15〜20cmほどです。
春から初夏にかけて、花茎をほぼ直立させて花茎を分け、花径2cmほどの花をいくつかつけます。
花色は赤で、花の中心部の色が濃く、葯(雄蕊の先)の色が黄色なのが特徴です。
葉は、三出複葉で三つの小葉はハート型です(クローバーの葉に似ています)。小葉は、長さ1.5cm前後です。
多摩丘陵では稀に半野生化しています。
後述するように、この仲間には同じく観賞用に渡来した外来種が数種あり、江戸時代に北米(原産は南米)から渡来したムラサキカタバミ、1900年代はじめ頃に南米から渡来したベニカタバミなどがあります。
■名前の由来
カタバミの名は、葉が夜になると三小葉を閉じることから、その様子を横から見ると葉が喰われて欠けているように見えることから「片喰(かたはむ)」または「傍喰(かたはむ)」と呼ばれたというのが一般的です。「イモ(芋)」は地下に芋状の塊茎があることからです。
■文化的背景・利用
万葉集に現れる「花勝見(はなかつみ)」が、日本に自生するカタバミであるという説がありますが、他の植物であるという解釈もあって不確かなようです。
渡来して歴史も浅いこともあり、知られた詩歌や文芸などに「イモカタバミ」は現れていません。
■食・毒・薬
この仲間(カタバミ属)は、シュウ酸を多く含むので食用にはしないほうがよさそうです。
日本に自生するカタバミの葉などを、民間薬としてそのまますり潰して、疥癬(かいせん)や虫刺されなどに使用しますが、イモカタバミについては薬用の報告はありません。
■似たものとの区別・見分け方
日本に自生するカタバミは葉も花も小さく花色が黄色なので容易に区別できます。葉が、赤い色を帯びるものをカタバミの品種として「アカカタバミ」と呼ぶことがあります。
よく似た外来種のムラサキカタバミは、花径が1.5cmほどと一回り小さく、花の中心が白っぽく葯(雄蕊の先)の色も白です。
同様によく似た外来種のベニカタバミは花色が濃く、葉が一回り小さく葉の表面に光沢があるので容易に区別できます。ベニカタバミは多摩丘陵では確認できていません。
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写真は「花」と「花と葉」の2枚を掲載 |
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イモカタバミの花 |
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イモカタバミの花と葉 |
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