■特徴・分布・生育環境
晩秋から冬にかけて鮮紅色〜橙色の果実を枝一杯につけて美しいので、人家周辺、庭木や耕作地の境界などによく植栽されています。
高さ2m〜3mになる常緑低木で枝には鋭いトゲがあります。
初夏に白い小さな花を群がらせるように沢山つけます。
この仲間(ピラカンサ属)には、
・タチバナモドキ(橘擬)またはホソバトキワサンザシ(細葉常盤山査子) 学名:Pyracantha angustifolia −果実は通常橙色に熟す
・トキワサンザシ(常盤山査子) 学名:Pyracantha coccinea −果実は赤く熟す
・ヒマラヤトキワサンザシ(ヒマラヤ常盤山査子) 学名:Pyracantha crenulata −果実は概ね鮮紅色に熟す
・上記の種などをもとにした園芸品種など
があり、区別はかなり困難です。
多摩丘陵では、人家周辺などによく植栽されています。
■名前の由来
「ピラカンサ」の呼び名は、上記の通り区別が難しいので学名(属名)の「Pyracantha」で総称したものです。
「サンザシ」の名は漢方の生薬名「山査子」からですが、別属(サンザシ属/Crataegus cuneata)です。
「常盤」は常緑の意味です。
・「タチバナモドキ(橘擬)」または「ホソバトキワサンザシ(細葉常盤山査子)」は、明治時代に中国から観賞用に持ち込まれたもので、「橘擬」は、ミカン科のタチバナに果実が似ていて鋭いトゲも似ていることからです。
「ホソバ(細葉)」は他の仲間よりも多少葉が細いことからです。
・「トキワサンザシ(常盤山査子)」は欧州から西アジア原産で昭和初期に渡来しています。
・「ヒマラヤトキワサンザシ」は昭和時代に入ってから渡来したもので、ヒマラヤ原産なのでこの名があります。
■文化的背景・利用
江戸時代に薬用に渡来した別属(サンザシ属/Crataegus cuneata)の「サンザシ」は、漢方で薬用に使われるとのことですが、この属(ピラカンサ属またはトキワサンザシ属)が薬用に使われるという報告は見当たらないようです。
■食・毒・薬
毒性は未確認ですが、ピラカンサの仲間の果実は食用にはならないようです。
「サンザシ」とは異なり、薬用にするという報告もないようです。
■似たものとの区別・見分け方
ピラカンサの仲間を見分けることは、園芸品種もあって困難です。サンザシ属の種とはサンザシ属では落葉性なので区別できます。
ただ、サンザシ属には非常に多くの種があり、落葉時以外にはピラカンサとの区別は結構困難です。
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写真は「タチバナモドキか園芸品種の果実」、 「ピラカンサか園芸品種の花」、 「トキワサンザシか園芸品種の果実」と 「ヒマラヤトキワサンザシか園芸品種の果実」 の4枚を掲載 |
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タチバナモドキか園芸品種の果実 |
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ピラカンサの花 |
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トキワサンザシか園芸品種の果実 |
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ヒマラヤトキワサンザシか園芸品種の果実 |
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