■特徴・分布・生育環境
縄文の時代から人の主食である「粟(あわ)」の原種であるとされています。
キツネの尻尾のような、独特の円柱状の花穂(果穂)を知らない人は少ないのではないでしょうか。
植物学的には「アキノエノコログサ」(学名:Setaria faberi)と「エノコログサ」(学名:Setaria virides)に分けられています。
他にキンエノコロやムラサキエノコロなどがあります。
草丈50cm〜1mくらいの1年草で、道端や草地に普通に見られます。
初秋から秋に緑黄色の花穂(果穂)をつけます。
花穂(果穂)は、長さ6〜8cmほどで径1cm弱で、微細な果実(種子)を周囲に密につけます。
日本各地〜温帯から熱帯に広く分布しています。
多摩丘陵では、小道のわきや草地・畑地に普通に見られます。
どちらかというとアキノエノコログサのほうが多い印象があります。
■名前の由来
名前は、独特の花穂(果穂)が「犬の子(エノコロ)の尾に似ている」ところからつけられたというのが通説です。
英名では「Foxtail Grass」で、こちらはキツネの尻尾にたとえています。
この穂で猫を遊ばせるとよくじゃれるので「ネコジャラシ」の別名があります。
■文化的背景・利用
上述の通り「粟(あわ)」の原種とされています。
粟(あわ)は、現代でも「五穀」、すなわち、米・麦・粟・豆・黍(きび)または稗(ひえ)のひとつに数えられていて、重要な主食となっています。
なお、「粟(あわ)」は米以前に日本に渡来していて、縄文時代には既に栽培されていたと推定されています。
万葉集には「粟(あわ)」は詠われていますが、エノコログサとしては現れていません。
江戸時代に貝原益軒によって編纂された「大和本草」には、「雑草類」として「狗尾草(ヱノコロクサ)」が現れています。
■食・毒・薬
アワは、米に比してタンパク質や脂質、B1やB2などのビタミン類、カリウムなどのミネラル類、食物繊維などを多く含むので現代でも米に交ぜて炊きます。
エノコログサそのものは、直接食用や薬用にはしないようです。
■似たものとの区別・見分け方
エノコログサとアキノエノコログサは、アキノエノコログサのほうが大型で、花穂(果穂)も大きくて立派であることと、エノコログサの花穂(果穂)はほぼ直立しているのに対して、アキノエノコログサの花穂(果穂)は、通常湾曲していることで区別できます。
キンエノコロは花穂(果穂)が黄金色なので区別は容易です。ムラサキエノコロは茎、葉や穂などが紫色を帯びることで区別できます。
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写真は「花穂(果穂)」と「花穂(果穂)と全体」 の2枚を掲載 |
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エノコログサ(アキノエノコログサ) の花穂(果穂) |
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エノコログサ(アキノエノコログサ) の花穂(果穂)と全体 |
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