アカネ(茜)
多摩の緑爺の「多摩丘陵の植物と里山の研究室」

アカネ(茜) アカネ科アカネ属
学名:Rubia akane

| 総索引へ戻る |
写真一覧表の| 早春へ | 春へ | 夏へ | 初秋へ | 秋へ | 冬へ |
| トップページへ戻る |
■特徴・分布・生育環境
ツル性の多年草です。
日当たりのよい林縁に自生します。
  
春の芽生え時に、小さな葉を4枚輪生させているように見えるので、目を引きます。
ただ、葉は2枚が対生(対になってつく)していて、他の2枚は托葉です。

茎は四角形で、ごく細かい逆トゲが密生していて他の植物によりかかります。

夏の終り頃〜初秋〜秋の始めにかけて、径5mmに満たない白〜淡緑白色の花を群がらせるよう多くつけます。
花冠は杯状で花冠の先は5裂しています。

葉は、明らかな葉柄があり、普通は長さ3〜5cmほどと小型で、葉先が鋭三角形状の卵型です。
ただ、長さ7cmほどの葉もあります。

秋に、ごく小さな果実を黒熟させます。

日本全土〜朝鮮半島〜中国大陸に広く分布します。
多摩丘陵では、林縁に時々みられます。

■名前の由来
アカネの名は、根を染色に用い、茜色(すなわち緋色)に染まることからです。いわゆる「茜染」です。

■文化的背景・利用
「茜染」は、乾燥したアカネの根を煮出して、まだ熱い煮出汁に灰汁処理した布を、時間をかけて何度も漬けて染めるようです。
手間暇と時間がかかることから現代ではほとんど利用されていないようです。

アカネは、万葉の時代から親しまれていたようで、13首程に詠み込まれていますが、ほとんどが「枕詞」のようです。

万葉の時代には、夜明けの空の様子を「茜色」にたとえていたようです。
万葉集では、額田王の「茜さす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」の歌が有名です。
ここでも「枕詞」として「茜さす」が使われています。

■食・毒・薬
漢方では、根を天日乾燥した赤黄色のものを「茜草(せんそう)」と呼び、利尿薬、通経薬や消炎剤などとして広く利用します。
もちろん、食用にはできません。

■似たものとの区別・見分け方
芽生えの時を除けば、他の草などに紛れていて目立ちません。

似た草本はなく、4輪生する葉と托葉で容易に識別できます。
ただ、花期では茎上部では2枚が対生するなど変化があります。    
  
写真は「芽生え」、「花」と「花穂の全体」
の3枚を掲載
アカネ
アカネの芽生え
アカネ
アカネの花
アカネ
アカネの花穂の全体